小林新聞舗

小林新聞舗(大阪市平野区)  2023/8 四切
先月、用事で大阪の平野区を訪れたとき、ついでに前から気になっていた平野郷町をロケハンしてきた。この絵は「平野中央本通り商店街」をぶらぶら歩きで出会った「小林新聞補」(昭和4年竣工、国登録有形文化財)。明治22年創業の大阪で最も古い新聞販売店という。モダンなアーチ型窓などに大正ロマンを感じさせられ、古ぼけた朝日新聞のマークが何とも懐かしかった。平野郷は中世から堺と並ぶ環濠自治都市で河内木綿の集散地として栄えてきたそうだが、大正、昭和に入ってもこんな大きな宅配新聞店が建つほど分厚い富裕層の需要があったのだろう。今はごく庶民的な町に変わり、昭和レトロ溢れる商店街に面して「新聞屋さん博物館」として公開されている。隣接する全興寺でもらった「平野の町づくりを考える会」発行のマップによれば、周辺に小さな博物館が十数カ所もあることが分かった。住民自治の伝統を受け継ぎ、町ぐるみで取り組まれていることに頭が下がる。おかげで歴史と伝統が残っているところを効率よくを見て回れる。江戸期の町屋や戦前からの古民家、神社仏閣など絵になりそうなところが盛りたくさんの町である。


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